REPORT
レポート
すまいるカット(発達障害児のヘアカットに関する理美容師の意識調査)
発達障害児のヘアカットに関する理美容師の意識調査レポート「報告書」「リーフレット」を完成しました
概要
当法人では、NPO「そらいろプロジェクト京都」と協働して、「理美容からのバリアフリー社会の構築 ―発達障害児・者の理美容の現状と課題調査」に取り組みました。(トヨタ財団2020年度国内助成プログラム「しらべる助成」)
この度、調査報告書が完成しました。
内容
・今回は、発達障害児のヘアカットについて、理美容師の皆さん、理美容師を目指す専門学校生の皆さん、理美容室経営者の皆さんを対象とした調査を行いました。
・2018年に実施した「ヘアカットをしてもらう側」の発達障害の当事者・保護者を対象とした全国調査(回答数373件)で、理美容室でのヘアカットについて「現在困っている」または「過去に困ったことがある」という回答が86%を占めています。
・いっぽう、今回の調査では「ヘアカットする側」を対象としています。理美容師として働く皆さんや経営者の皆さんがどのような認識を持っておられるかを明らかにすることを目指しました。
・あわせて、理美容師を目指す学生の皆さんにもご協力をいただき、「発達障害当事者・保護者以外のコミュニティ全体」の認識についても調べました。
【調査方法】
・理美容師向けアンケート(有効回答数114件)
・専門学校生向けアンケート(有効回答数121件)
・理美容室経営者へのヒアリング調査(10件)
【調査でわかったこと(ポイント)】
<アンケートまとめ(理美容師、専門学校生)>
◆「発達障害」という言葉の認知度は比較的高かった。しかし、発達障害の人たちに出会う機会、学ぶ機会、情報を得る機会が少なく、関心度も高いとはいえない。
◆学校で学ぶ機会はなく、ふだん発達障害の人たちを支援している福祉・教育関係者から情報を聞く機会もほとんどない。
◆ヘアカットを始めるにあたり障壁となることは、「コミュニケーションが難しい」 「カット以前に、発達障害のある子どもへの接し方がわからない」「技術の習得に必要なトレーニング、研修を受ける機会がない」の3つが上位を占めた。
◆機会があったり、研修機会が持てれば、積極的に取り組みたい意見が6割程度あった。
<経営者ヒアリングまとめ>
◆理美容師には「誰でもお客様」だというプロ意識の高さがある。
◆一方、「発達障害」の特性や対応方法がわからないという声が少なくない。特に「カット時間がかかりすぎるのでは」など営業面での不安の声が多い。
◆理美容師養成課程に発達障害を含む障害者への対応を義務づけることについては、賛成の声もあるが、「国家資格を取得してからこそ、(あらゆるお客様に対応できるだけの)更に専門性を磨くべき」との意見も強い。
※2 調査結果を踏まえ、理美容師の皆様に、発達障害の理解を深めてもらうことを目的としたリーフレット、および動画を作成しました。
リーフレット
「ヘアカットが苦手な子どもたちのことをご存じですか?〜まちの理美容師さんへ」
動画
私たちは、発達障害に理解ある理美容師の皆様と共に、心温まるコミュニティづくりの実現を夢見ています。